昨日は紀伊国屋サザンシアターへ音楽劇『新センセイの鞄』を観に行ってきた♪
30才余りの年の差を越えた老齢のセンセイと教え子ツキコさんとの淡々とした恋。
川上弘美さんの原作小説で、センセイ役は沢田研二さん、ツキコ役は富田靖子さん。
昨年演劇集団キャラメルボックスを退団された細見大輔さんも出演。
お目当ては細見さん
ツキコのモノローグの後、朗々と歌う沢田研二さん。歌詞がとっても切なくてジーンとした。
そしてとっても素敵な歌声に惚れ惚れ>▽<
ザ・タイガースの頃や、その後ソロで活躍された時代を知らないけれど、今日の歌声を聴いて「もっと数年早く生まれたかった!」なんて思った。
赤提灯のさがった居酒屋で、たまたま再会したセンセイとツキコさん。何度か居酒屋で顔を合わせ言葉を交わす2人の間の空気が、お互いを尊重し敬意を払いつつもゆっくりゆっくり近付いていく様や、下町を思わせる雰囲気がどこか懐かしく、心和む^^
国語の教師らしい教養と落ち着きに満ちたセンセイの所作が魅力的で、可愛らしい子どもっぽさを残すツキコさんとのやり取りにも和んだ^^
センセイの「ツキコさん」と呼ぶ声が、だんだんと愛しさが込められたものになっていくのにジーンとなる
印象に残ったのは、かつての妻の話をした時の先生の言葉。
妻は自由奔放で奇抜な行動をとる人だったと語るセンセイ。彼女の行動が招いた騒動の後、センセイに叱られてしゅんとなった彼女が、「人が生きていくことって、誰かに迷惑をかけることなのね」と言った言葉に、「私は迷惑をかけない。自分の個人的な事を人間の全部の事のようにとらえないでくれ」(一字一句同じでないけどこんな趣旨の言葉だった)と返すセンセイ。聞いていて「これは言われた方はキツイなぁ(ノ_・。)」って思った。関わりを持つ事を拒否されたも同じだもの(ノ_・。)
おそらく、孤独で愛を知らずそしてそれを自覚していなかったセンセイ。そして同じく孤独だったツキコさん。2人が再会して惹かれ合うのは必然だったのかも。
ツキコさんには恋人がいたけど、その人はツキコさんとの恋愛に悩み、その事をツキコさんの友人に相談するうちにその友人と結ばれてしまう。申し訳なさそうにしている友人に明るく振舞うツキコさん、「自分は恋愛に向いてない」といった旨の事を口にするけど、ツキコさんの孤独を一層感じて切ない(ノ_・。)
そんなツキコさんにアプローチする同級生、小島孝(演じていたのは細見さん)さん。
センセイと共に参加した、高校の恩師とOBが開催するお花見でツキコさんと再会した彼は、同級生と学生結婚の後に離婚したと語る。
そしてお花見会場でセンセイを美術の女性教師・石野先生に取られてしまったような形になって、内心面白くないツキコさんの心を察したのか下心がそもそもあったのか、彼はツキコさんを連れ出し行きつけのバーへ誘う。ツキコさんを口説く小島さんはとっても色っぽくて素敵(///∇//)
センセイとは次に会う約束などはしておらず、すれ違ってしまっていた事もあってツキコさんは小島さんと会うようになる。が、やはり彼女が想うのはセンセイの事。一見、軽い雰囲気の男性に見える小島さんだけど、ツキコさんに対する気持ちは真摯なものだったと思う。ちゃんとツキコさんの事を見ているから。けれど、小島さんといる時のツキコさんはセンセイといる時ほど活き活きとしていない。
彼女は自分を「子どもだ」と言い、そんなツキコさんと、行きつけのバーを持ち大人の強引さを持つ小島さんとでは、結ばれる事は叶わないのだろうなぁ。
そして、この一連のシーンに登場した石野先生と小島孝さんは、ツキコさんのセンセイへの気持ちを確固たるものにしたのだと思う。
終盤、自分の恋心を自覚したセンセイが吐露した想いと、それに対するツキコさんの悲痛な叫びに涙(ノ_・。)
不器用なセンセイと一途なツキコさん。静かで、でもとても深く強い愛情を感じた。
ラストシーンは切なくも温かくて、センセイはいつまでもツキコさんの側にいると感じさせてくれてまたジーン
帰り際に紀伊国屋で原作小説を買ってきた♪
生演奏のチェロとアコーディオン、パーカッションの演奏を思い返しながら、またゆっくりとこの物語に浸ろう♪
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