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創作裏話、Web拍手御礼、マイブームなど。
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    演劇集団キャラメルボックス緊急公演『銀河旋律』観劇♪

    書きかけのままアップするのを忘れてた
    とっくに公演は終わっていて今更感たっぷりだけど、観劇感想♪

    7月2日、演劇集団キャラメルボックスの緊急公演『銀河旋律』のGREENキャストバージョン観劇^^

    <あらすじ>
    タイムマシンが実用化された時代。
    「ニュースプラネット」では、今日もタイムトラベラーが引き起こした事件について伝えていた。その最中、ニュースキャスター・柿本光介は軽いめまいに襲われる。柿本の過去がまた改変されたのだ。
    柿本と高校教師・はるかの過去が変えられたのは、これで二度目。それは、二人の仲を引き裂こうとする、はるかの元同僚・サルマルの仕業だった。サルマルの企みを阻止しようとする柿本。しかし、翌日、またしても過去が変えられてしまう。柿本は、すぐにはるかに電話をする。しかし、はるかは1年前にサルマルと結婚していた。
    はるかを取り戻すため、柿本は地位も名誉も捨てて、過去へとさかのぼることにする。
    (公式サイトより)

    どの登場人物の気持ちもとても切なくて、胸を打つストーリー
    サルマルの手によって改竄された現在で、柿本はすぐにサルマルと結婚生活を送るはるかへ電話をかける。はるかはサルマルと過ごした日々の記憶と同時に、柿本との日々の事もまだ覚えてた。でも「それはもう無くしてしまったもの」と語るはるか。舞台上では触れ合える位置にいるのに、電話で話しているという状況に加えて心もすれ違い、絡み合わない2人の視線が切ない
    そして改竄された現在では、柿本の同僚・桜田よしのが彼を愛している。柿本も、それは改竄された過去の記憶だとわかっていつつも、よしのを愛する気持ちも確かに存在するのを感じる。それでもはるかを忘れたくないとタイムトラベルを決意する柿本。そんな彼に、たとえ改竄された過去だとしても今の自分には柿本が必要だと、今はこれが真実なのだと叫ぶよしのがまた切なくてたまらない
    結局、職も家も全てを捨てて、はるかを取り戻すべくタイムトラベルに向かう柿本によしのが差し延べた救いの手。彼女は本当に強く美しい人だと感じた
    タイムマシンで一年前に向かった柿本は、はるかの学校で学生達がはるかとサルマルが結婚するという話をしているのを聞く。「過去の人間と接触してはいけない」という決まりを破り、彼は必死にはるかに呼びかける。改竄されたこの時代の流れでは出逢ってすらいない2人。「会うのは初めてだけど、ずっとずっと好きでした!」と叫ぶ柿本の姿に胸を打たれた
    こういう時の畑中智行さん(柿本役)の表情はとっても素敵
    で、一度きっぱりとふられたにも関わらず、ずっとはるかを想い続けるサルマル。過去を改竄してはるかと柿本を引き裂き、一時でも望みの生活を手に入れた彼は果たして幸せだったんだろうか……。サルマル自身は「これは改竄した過去だ」と知っているはずなのに。そして柿本とよしのをくっつけようとしたのは何故なのか。ストーリーだけを見ていると、はるかと自分の仲を柿本に邪魔させないためなのだろうと思うんだけど、このGREENキャストでサルマルを演じた三浦剛さんを観ていると、柿本への罪悪感があるようにも見えた。サルマルは独りの淋しさを知っているから。このサルマルはそんな悪人になりきれない心の持ち主のように感じた。もちろん、柿本からすれば「そんな事よりはるかを返せ!」って話なんだけど。
    他のチームのサルマルを観たらまた違う印象を受けるんだろうなぁ。
    サルマルの視点からもこの物語を観てみたいと思う。
    きっと、柿本とサルマルの立場が逆だったら、柿本は同じ事をしただろうしサルマルも同じように行動しただろう。
    劇中に、柿本人麻呂の短歌が登場人物の想いを乗せて詠じられる。これがまた洒落ていて、それでいて切ない


    切ない想いでいっぱいのラブストーリーだけど、キャラメルボックスらしい笑い所も満載
    特にはるかの教え子である男子学生3人組の、ハイテンションで暑苦しいけど10代の少年らしい可愛らしいやり取りと、身体を張ったアクションにお腹が痛くなるほど笑わせてもらった

    この公演はBLUE、RED、GREENの3チームに分かれてのトリプルキャストで行われていたもの。
    同じ脚本にも関わらずまるで違う雰囲気に仕上がっているそうで、全部のチーム観たかったなぁ。
    3チームともDVD化されるとの事だから心待ちにしていよう♪

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    演劇集団キャラメルボックスハーフタイムシアター『ヒア・カムズ・ザ・サン』『水平線の歩き方』

    下書きのまま公開するの忘れてた
    18日に演劇集団キャラメルボックスのハーフタイムシアター『ヒア・カムズ・ザ・サン』と『水平線の歩き方』夜の回を観に行って来た♪
    公演は終了しているんでネタバレ全開。

    『ヒア・カムズ・ザ・サン』
    真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。
    彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。
    ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したのだ。父は、ハリウッドで映画の仕事をしていると言う。
    しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた……。

    『水平線の歩き方』
    幸一は35歳。社会人ラグビーの選手。
    ある夜、自分のアパートに帰ると、部屋の中に女がいた。どこかで見た顔。彼女はアサミと名乗った。
    それは、幸一が小学6年の時に病気で亡くなった、母だった。親子二人で過ごした日々が、幸一の脳裏に鮮やかに蘇る。
    あの頃、母は大人に見えた。
    が、今、目の前にいる母は、明らかに自分より年下だった……。
    (公式サイトより)

    『ヒア・カムズ・ザ・サン』
    ビートルズの楽曲のタイトルで、意味は「陽はまた昇る」。
    この時勢にぴったりかも。
    公式サイトであらすじとキャスティングを見たときに「もしかしてカオルって……?」と思っていたら、やっぱり3年前に上演された作品『ハックルベリーにさよならを』に登場したカオルさんと同一人物だった。(この時同時に上演されたのが『水平線の歩き方』。)設定ではあれから2年後、という事になっている。
    カオルの父・白石はカオルの会社を訪れ真也と出会う。チョイ悪(?)な風貌と口調の白石だけど、夢を追い続け努力を惜しまない実直な人物。家族を捨てアメリカへ旅立った彼が何故急に帰って来たのか。出されたお茶を2度もひっくり返し零してしまった事、極度の近眼に加えて老眼だと言うにも関わらず、帰国前に割れたメガネをそのままにしていた事、歩いている時の目つきや身振りから、「もしかして近眼どころの話じゃないのでは?」と思っていたら正にその通りで、彼は目の病気で視力を失いかけていた。そこで、何故急に帰国しカオルや元妻の輝子に会いに来たのかを想像すると切なくてたまらない
    たとえ視力を失っても、映画に携わる仲間を支える仕事に就くべく努力を続ける姿、愛する2人の顔を最後に目に焼き付けておきたいという想い、それでいて堂々とした立ち振る舞いや、カオルに会いたいと真也を振り回す憎めないワガママさに惹きつけられる
    そして、真也の持つ能力を知り半信半疑ながらも、「父が何故急に帰って来たのかその力で探って欲しい」と頼むカオル。白石の持ち物から真也が見たものは、映画の現場とはまるで関係ない光景。「映画の仕事をしているというのは嘘なのではないか?」と詰め寄った真也に対し、「お前は神様にでもなったつもりか?」「お前が見たものが真実だなんてどうして言い切れるんだ」と白石は返す。真也同様にはっとさせられる言葉だった
    特殊能力の有無に関わらず、人は自分の見たものが正しいと思い込んでしまいがち。それはごく一部かもしれない、他の見方があるかもしれない、そう考えるきっかけを得る事ってなかなか難しい事だと思う。こういう事を臆せずに心を開いて言い合える関係が作れたら素敵な事だなぁと思う。これをきっかけに真也と白石の互いの気持ちが「好きな人の父親・娘の恋人」でなく、「対等に語り合える男」に変わったような気がした。
    そしてどうにかカオルと白石を会わせようと奔走する真也の優しさにジーンとなったカオルに頼まれたから、とか好きな人の父親だから、といった打算めいた想いは一切無く、自分の身体を省みずに力を使い走る真也の一途な姿が魅力的
    ようやく叶ったカオルと白石の再会。淋しかった気持ちや再会を喜ぶ想いを隠し意地を張るカオルと「目の事は絶対に話すな」と言う白石、何だか似たもの親子だなぁ。そんなカオルが最後にようやく見せた笑顔にまたジーン
    帰国してから関わった人達皆に(真也と真也の家族、カオルと輝子、真也の会社の人達までも!)見送られ成田を発った白石は、この後視力を失ってもきっと希望を持って生きていけるだろうなと思えた。
    ラストシーンで真也とカオルの繋いだ手にスポットが当たっていたのも印象的。2人の今後も見てみたいなぁ。
    主人公は真也だけど、白石がおいしい所を持ってちゃったようにも感じたから、是非他の作品でも真也の奔走ぶりを見たいと思う。

    『水平線の歩き方』
    キャラメルボックスにハマったきっかけになった作品で、今まで観た中で一番好きな作品!
    ダンスシーンの曲を聴いただけで涙が出てくる
    初演の時よりも、幸一の周囲の人達が彼を思う気持ちを強く感じた。だからこそ余計に、独りで生きていこうとする幸一の姿が切なくて悲しくてたまらない
    12歳で母を亡くして父には捨てられて、独りで突っ走り「誰にも迷惑をかけたくない。」、「どんなに好きなっても、いつかなくしてしまうかもしれないと思うと怖くて心から誰にも頼れない。」と想いを吐露する姿、そして幸一が今の自分の状況を思い出した時に「もう思い残す事は無い」と言った瞬間と、それに対してアサミが返した言葉に涙腺崩壊
    母を亡くして以来、家族にも友人にも恋人にも溶かせなかった頑なな幸一の心を溶かしたのは、やっぱり厳しくも優しい母の愛なんだなぁ
    ドアを開けて出て行く直前のアサミの言葉と表情、そして一人になった幸一がアサミの作って行ったおじやを食べて見せた笑顔、たまらなく素敵で涙が止まらない
    泣き所だけじゃなく笑い所も満載で、お腹痛くなるほど笑ったシーンもたくさんあり、最高に楽しませてもらえた

    2つの作品に共通する「人は一人じゃ幸せになれない」という言葉と、今回の公演の「人が生きていくのに必要なのは、食べ物と友達。そして、思い出なんじゃないかな。」というキャッチコピーが心に響く。
    思い出は過去を振り返り懐かしむだけのものじゃなくて、今を生きる力を与えてくれるものなんだなぁ。
    笑いと大きな感動をもらえた素敵な舞台だった

    次の公演は7月2日。楽しみ♪

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    演劇集団キャラメルボックス2011スプリングツアー『夏への扉』 2回目

    24日に、演劇集団キャラメルボックスの公演『夏への扉』お昼の回を観に行ってきた♪

    1970年、ダニエル・デイビスは失意のどん底にいた。
    大学で機械工学を学んだダニエルは、親友と二人で会社を設立。ハイヤード・ガールと名付けたロボットの開発に成功した。が、婚約中の恋人と親友が仕組んだ罠に嵌められ、会社とロボットを奪われたのだ。ダニエルに残されたのは、飼い猫のピートだけ……。
    彼は裏切り者二人への復讐を誓うが、逆に捕らわれの身となり、コールドスリープの冷凍場に送られてしまう。そして、長い眠りから覚めた時、そこは30年後の、2000年だった!会社は?ロボットは?そして、愛猫ピートは?すべてを失ったダニエルは、起死回生の一手を打つ!

    信頼していた友・マイルズと恋人・ベルの裏切りに合い、失意の底から立ち上がって復讐を試みるも失敗。全てを失った状態から、立ち上がり走り抜ける畑中智行さん演ずるダニエルの姿に勇気と元気を貰えた
    2000年に目覚めたダニエルを支え助ける人々、ダニエルの心の支えとなっていたマイルズの(義理の)娘・リッキー。悲劇や絶望に打ちひしがれても、人は1人じゃないのだと教えてくれる

    心根からの悪人にはなりきれなかった感のあるマイルズに対し、ベルの徹底した悪女っぷりにぞぞっ
    興奮するダニエルに注射を打って眠らせる手際の良さ、理知的なマイルズすらも手玉に取る魔性ぶり、頭の回転の早さは自分の目的を果たすためと危機を回避するためだけに働き、自分に反発する者は猫であろうと容赦しない非道さetcetc
    ここまでの悪人は今までのキャラメルの舞台には存在しなかっただろうなと思う。ベルを演じた岡田さつきさん、お見事
    ダニエルから発明品のロボットに会社にと全てを奪ったベルだけど、2000年に再会した彼女はすっかり落ちぶれていた。悪人には相応の未来が待っているという展開も安心して観ていられる。

    ダニエルの愛猫・ピート。
    "尋常じゃなくデカイ猫(笑)"筒井俊作さんが演じるピートは、猫の着ぐるみやネコミミなんかを付けてるわけじゃないのだけど、巨大なボストンバッグから顔を出す仕草やベル達との闘争など、全ての所作が猫のそれっぽく見えて、愛らしく頼もしい素敵な猫だった

    1970年から2000年、そして再び1970年へと、舞台上の時間は複雑に進む。
    奪われた全てを取り戻すために、そして幼かったリッキーとの大切な約束を果たすために、諦めず走り続けたダニエルの姿に惹きつけられた
    信じていた人物に騙され失意のどん底にいたのに、それでも人を信じられるダニエルの強さに憧れるそんな彼の強さが、回りの心を動かし協力したいと思わせるのだと思った。

    喪失からの起死回生、困難に立ち向かう事、人を信じる心。今の状況に相応しい、生きるエネルギーを貰える舞台だった

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    『ノルウェイの森』を観てきた♪

    先月公開された村上春樹さん原作の映画『ノルウェイの森』を観てきた^^

    原作がとても好きなので所々不満点はありますが、全体的には良い映画になっていたと思う。

    先ずは不満な所から。
    ・序盤、直子が語った「古い野井戸」の話がばっさりカット
    原作は38歳になったワタナベ君が、20歳の頃の事を回想するという形で始まるんだけど、その時思い出したのが直子が語った「どこかにあるけどどこにあるのか誰にもわからない、落ちたら助かる見込みの無い古い井戸」の話。
    井戸は春樹さんのこの頃の作品によく登場し、孤独や喪失感、無力感、心の闇などなどを表す大事なモチーフなのに、この話がばっさりカット。残念

    ・ラブシーンが特濃
    監督がフランスの人だからだろうか。ラブシーンがやたら濃厚でちょっと目と耳のやり場に困ってしまう
    原作でも重要な行為として描かれてはいるけど、そこへ至るまでの過程が大事なのに端折られてて、些細なやり取りから唐突にラブシーン突入で戸惑った。

    ・レイコさんの存在感が希薄
    療養所で直子と同室で過ごすレイコさん。直子との絆やレイコさん自身の過去もばっさりカット
    原作終盤でワタナベ君と2人で行った直子の「淋しくないお葬式」も無く……。
    彼女の過去に何があったのかがまったく描かれていないから、終盤にレイコさんがワタナベ君に言った「お願い」は、原作を読んでいない人には何故こんな事を言うのか理解出来ないんじゃないかと思う。
    とはいえ、そこまで描いていたら4時間は越える作品になってしまいそうだけど


    満足だった所。
    キャスティングは私のイメージに近く、特にワタナベ君を演じた松山ケンイチさんが良かった
    優柔不断と紙一重の優しさ、淡々とした語り口、緑といる時の穏やかな表情、直子を失った時の激しい混乱ぶり、全てに惹きつけられた。松山ケンイチさん、ファンになりそう
    ワタナベ君は決して魅力的な男性、というわけではないけど映画を観ていて、緑がワタナベ君に惹かれたのが何となく分かる気がした。
    直子も緑もそれぞれに強い存在感を放っていて魅力的。直子は原作よりも強く暗い力を感じた。ワタナベ君を見ているようで誰の事も見ていない目つきと、今にも壊れそうな声が特に印象に残った。対して緑は原作同様明るい生命のエネルギーに満ちていて、不幸な境遇を乗り越えていこうとする強さに惹かれる。
    風景も綺麗で、特に直子を失ったワタナベ君が荒れた海で悲しい咆哮を上げるシーンは、ワタナベ君の心情と風景が同化して印象深いシーンだった。
    直子には「好きだよ」と、緑には「愛してるよ」とワタナベ君は告げる。この違いが、揺れていたワタナベ君の今後の心と人生の行方を表しているんだろうと思った。

    不満点も満足した所も、細かい事を上げればキリが無いけど、原作の魅力を大きく損なう事無く、愛や生死、幸福について、考えさせられる良い映画に仕上がっていた。

    拍手

    映画『ペーパームーン』

    1973年に制作されたアメリカ映画。

    <あらすじ>
    1930年代の大恐慌期のアメリカ中西部。母を自動車事故で亡くして孤児となった少女・アディは、母と付き合っていた詐欺師のモーゼに連れられ、ミズーリにいる叔母の許まで旅することに。道中、ちゃっかり者のアディと、そんな彼女に助けられながら詐欺セールスを続けるモーゼ。いつしかふたりの間には、本物の親子のような愛情が芽生えていくが……。

    何と言ってもアディを演じたティタム・オニールの存在感が光る
    聡明でしたたかで大胆、それでいて9歳の女の子らしい可愛らしさに溢れていて惹き付けられた。
    モーゼを演じたライアン・オニールとは実の親子という事もあり、初めてとは思えない自然な演技を見せてくれる。
    あえてモノクロで撮られた映像や、練られたカメラワークも見所

    アディの母親には3人の恋人がいて、アディの父親は誰なのかわかっていない。母の恋人の1人であるモーゼに「あごが似ている。自分の父親かもしれない」とアディは主張、でもモーゼはそれを断固として否定する。
    そしてモーゼは孤児になったアディを利用し他人から200ドルをせしめたが、それを聞いていたアディは「それは私のお金だから返してくれ」と主張、しかしその時には車を買い替えたりしたためモーゼの手元にお金は残ってない。アディをミズーリへの汽車に乗せてとっとと別れようというモーゼの思惑をよそに、アディへ返す200ドルを稼ぐため2人は詐欺稼業をしながら車でミズーリへ向かう事になる。
    モーゼの商売(?)は聖書の販売。新聞の死亡記事を探してその未亡人宅を訪問、「ご主人は生前にあなたに宛てて聖書を注文されていました」と頼んでもいない聖書を高く売りつける詐欺師。子どもを連れてちゃ仕事にならんと考えていたモーゼだけど、詐欺がバレそうになったモーゼを機転をきかせて救ったり、相手が金持ちと見ればモーゼも驚くほどの金額をふっかけたりと才覚(?)を表していくアディ。頭の回転の早さとしたたかさ、子どもである事・孤児である事など自分の見せ方を心得ている様はモーゼ以上に詐欺の才能に長けていると思う。
    始めはケンカばかりの2人だけど、アディの度胸や聡明さを目の当たりにしたモーゼはアディを相棒として対等に接するようになり、アディはモーゼを「父親かもしれない」という思いを強めていき、2人の距離が少しずつ縮まっていく様にじんわりと心が温かくなった^^
    アディに助けられ荒稼ぎをするモーゼは、カーニバルで出逢ったグラマラスなダンサー・トリクシーに夢中になってしまう。ボール紙で作られた月が微笑むセットでカーニバルの記念写真を1人で撮っているアディが切ない……><。
    その後、旅にトリクシーを同行させ、詐欺稼業も休止してこれまで稼いだお金をトリクシーに次々とつぎ込んでしまうモーゼに、嫉妬や不安を覚えたアディの不機嫌な表情が大人びていて魅力的。そして旅をボイコットして草むらに座り込むアディと、「誰といても上手く行かないから、今だけは……」と悲しげに語るトリクシーとの会話、その後モーゼとトリクシーを引き離すためにトリクシーのメイド・イモジンと協力して打った作戦は前半最大の見せ場! ここでもアディの頭の回転の早さと大胆な行動力が光る
    そしてモーゼとトリクシーの破局を前に、ちらりと見せる罪悪感に駆られた表情がまた可愛らしくて魅力的^^
    トリクシーと別れ、詐欺稼業を再開する2人はあるホテルで酒の密売人を見つけ、まんまと密売人を騙し大金を手にした2人だけど、すぐに発覚し激怒した密売人の兄弟の保安官に追われアジトに捕まってしまう。ここでもアディの機転で大金を手にしたまま逃げおおせるんだけど、保安官は執念深く追ってくる>o<
    決して派手なカーチェイスが繰り広げられるわけじゃないんだけど、カメラ1台のみワンカットで撮影された一連の逃走劇はとてもスリリングで片時も目を離せない!
    結局、他の詐欺を仕掛けている最中、町の中で保安官に見つかり、ぼこぼこに痛めつけられお金を全て奪われてしまったモーゼ。荒い息を吐きながらアディの名を呼ぶ姿にジーンとなった><。
    目指すミズーリはすぐ近く。アディを叔母の家へ送り別れを告げたモーゼの寂しそうな表情に胸が痛む
    アディは車を降りる直前、カーニバルで1人で撮った写真に「モーゼへ、アディより。」と短いメッセージを残し、その写真を目にしたモーゼの表情に「一緒に撮ってやればよかった」と後悔が浮かんでいたように見えてまたジーン
    そして、叔母の家で想像以上の歓迎を受けたアディ。もう、詐欺をする必要も無い、危険な目に遭う事もない。温かいミルクにシャワー、柔らかな布団も、憧れたピアノもある暮らしが始まる……はずだった。
    寂しさを吹っ切るように出発したモーゼの車を追いかけるアディ。追ってくるアディに気付いて車を降りたモーゼの喜ぶ心とは裏腹な言葉と、切り返したアディのやり取りは序盤からの流れが見事に収束していて、その後2人の前に広がるどこまでも続く道と、広大な風景と共に迎えるエンディングに胸を打たれた

    「たとえ紙で作った月でも、あなたが信じれば本物になる」
    この作品の挿入歌「It's only papermoon」の歌詞の一節(の意訳)。
    終盤、「本当にパパじゃないの?」と聞いたアディに「そうだと言いたいが、違う」と答えるモーゼ。
    モーゼとアディが本当に親子なのかどうかは不明なままだけど、2人は親子以上に強い、本物の絆で結ばれたのだと思う

    じんわりと心温まる素敵な作品
    お勧めでございます

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