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    映画『容疑者Xの献身』

    やっと『容疑者Xの献身』観に行けたぁ。

    いろいろと違いがあるものの、あらすじは原作とおおよそ同じなので端折るとして。
    原作を先に読んでイメージがあるので「ちょっと違うなぁ」と思ったところがいくつか……[[pict:yellow4]]
    「数学以外に何にも興味が無い」という石神の趣味が登山ってそれはちょっと……。
    で、ガリレオシリーズの中でも特にこの作品は「男同士の友情」にも重きが置かれてると思うから、刑事の友人であり容疑者の友人でもある湯川の苦悩が原作よりも伝わりにくいような気がした。特に終盤の「友人として聞いてほしい」という湯川の台詞は、友人である草薙刑事相手に言うからこそぐっと来るのになぁ[[pict:yellow4]]

    誰も幸せになれない結末、やりきれなくて悲しいけど、それでも石神の想いは美しいものだった[[pict:yellow2]]堤真一さんの演技に石神の想いが詰まってて、キャスティングを聞いた時には「石神が堤さんってかっこよすぎるんじゃ?」と思ったんだけど、映画の中の堤さんは石神哲哉そのものだった。(余談だけど、原作を読んで私の脳内イメージの石神は温水洋一さんんだった^^;)
    印象に残ったのは、「四色問題」についての「隣り同士が同じ色になってはいけない」という言葉。原作では湯川と石神が出会った頃のエピソードなどで話題になっていただけだったけど、この言葉が、自分と隣人の靖子は同じ色になれない、靖子と自分が結ばれる事はないんだという悲しい事実を石神が自分自身に突きつけているようで、それでも靖子を守るという決意の悲壮さに胸が痛む[[pict:yellow2]]。自分の人生はおろか他人の事もどうでもよくて、靖子自身に自覚が無くても、自分の心を救ってくれた彼女を救い守りたい、見返りなんか無くていい、こんな愛し方もあるんだと感じた。
    もちろん、石神のその行為は到底許されるものではない。石神の築き上げたトリックを知った湯川の衝撃と悲しみも胸を打つ。「真実を証明しても皆が幸せにならない」と石神は言うけど、―真実を知らないというのは、時には罪悪でもある ―これは原作の一文で、そんな罪悪を背負っていてはやはり誰も幸せにはなれない、靖子に真相を告げてしまった湯川の気持ちも、わかるような気がする。

    冒頭で愛情について内海と湯川が話すシーン、湯川は「愛についてなんて考えるだけ無駄だ」といった発言をするけど、石神の深く献身的な愛情を目の当たりにした湯川が今ではどう言うのか、聞いてみたいと思った。

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