下書きのまま公開するの忘れてた
18日に
演劇集団キャラメルボックスのハーフタイムシアター『ヒア・カムズ・ザ・サン』と『水平線の歩き方』夜の回を観に行って来た♪
公演は終了しているんでネタバレ全開。
『ヒア・カムズ・ザ・サン』
真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。
彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。
ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したのだ。父は、ハリウッドで映画の仕事をしていると言う。
しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた……。
『水平線の歩き方』
幸一は35歳。社会人ラグビーの選手。
ある夜、自分のアパートに帰ると、部屋の中に女がいた。どこかで見た顔。彼女はアサミと名乗った。
それは、幸一が小学6年の時に病気で亡くなった、母だった。親子二人で過ごした日々が、幸一の脳裏に鮮やかに蘇る。
あの頃、母は大人に見えた。
が、今、目の前にいる母は、明らかに自分より年下だった……。
(公式サイトより)
『ヒア・カムズ・ザ・サン』
ビートルズの楽曲のタイトルで、意味は「陽はまた昇る」。
この時勢にぴったりかも。
公式サイトであらすじとキャスティングを見たときに「もしかしてカオルって……?」と思っていたら、やっぱり3年前に上演された作品『ハックルベリーにさよならを』に登場したカオルさんと同一人物だった。(この時同時に上演されたのが『水平線の歩き方』。)設定ではあれから2年後、という事になっている。
カオルの父・白石はカオルの会社を訪れ真也と出会う。チョイ悪(?)な風貌と口調の白石だけど、夢を追い続け努力を惜しまない実直な人物。家族を捨てアメリカへ旅立った彼が何故急に帰って来たのか。出されたお茶を2度もひっくり返し零してしまった事、極度の近眼に加えて老眼だと言うにも関わらず、帰国前に割れたメガネをそのままにしていた事、歩いている時の目つきや身振りから、「もしかして近眼どころの話じゃないのでは?」と思っていたら正にその通りで、彼は目の病気で視力を失いかけていた。そこで、何故急に帰国しカオルや元妻の輝子に会いに来たのかを想像すると切なくてたまらない
たとえ視力を失っても、映画に携わる仲間を支える仕事に就くべく努力を続ける姿、愛する2人の顔を最後に目に焼き付けておきたいという想い、それでいて堂々とした立ち振る舞いや、カオルに会いたいと真也を振り回す憎めないワガママさに惹きつけられる
そして、真也の持つ能力を知り半信半疑ながらも、「父が何故急に帰って来たのかその力で探って欲しい」と頼むカオル。白石の持ち物から真也が見たものは、映画の現場とはまるで関係ない光景。「映画の仕事をしているというのは嘘なのではないか?」と詰め寄った真也に対し、「お前は神様にでもなったつもりか?」「お前が見たものが真実だなんてどうして言い切れるんだ」と白石は返す。真也同様にはっとさせられる言葉だった
特殊能力の有無に関わらず、人は自分の見たものが正しいと思い込んでしまいがち。それはごく一部かもしれない、他の見方があるかもしれない、そう考えるきっかけを得る事ってなかなか難しい事だと思う。こういう事を臆せずに心を開いて言い合える関係が作れたら素敵な事だなぁと思う。これをきっかけに真也と白石の互いの気持ちが「好きな人の父親・娘の恋人」でなく、「対等に語り合える男」に変わったような気がした。
そしてどうにかカオルと白石を会わせようと奔走する真也の優しさにジーンとなった
カオルに頼まれたから、とか好きな人の父親だから、といった打算めいた想いは一切無く、自分の身体を省みずに力を使い走る真也の一途な姿が魅力的
ようやく叶ったカオルと白石の再会。淋しかった気持ちや再会を喜ぶ想いを隠し意地を張るカオルと「目の事は絶対に話すな」と言う白石、何だか似たもの親子だなぁ。そんなカオルが最後にようやく見せた笑顔にまたジーン
帰国してから関わった人達皆に(真也と真也の家族、カオルと輝子、真也の会社の人達までも!)見送られ成田を発った白石は、この後視力を失ってもきっと希望を持って生きていけるだろうなと思えた。
ラストシーンで真也とカオルの繋いだ手にスポットが当たっていたのも印象的。2人の今後も見てみたいなぁ。
主人公は真也だけど、白石がおいしい所を持ってちゃったようにも感じたから、是非他の作品でも真也の奔走ぶりを見たいと思う。
『水平線の歩き方』
キャラメルボックスにハマったきっかけになった作品で、今まで観た中で一番好きな作品!
ダンスシーンの曲を聴いただけで涙が出てくる
初演の時よりも、幸一の周囲の人達が彼を思う気持ちを強く感じた。だからこそ余計に、独りで生きていこうとする幸一の姿が切なくて悲しくてたまらない
12歳で母を亡くして父には捨てられて、独りで突っ走り「誰にも迷惑をかけたくない。」、「どんなに好きなっても、いつかなくしてしまうかもしれないと思うと怖くて心から誰にも頼れない。」と想いを吐露する姿、そして幸一が今の自分の状況を思い出した時に「もう思い残す事は無い」と言った瞬間と、それに対してアサミが返した言葉に涙腺崩壊
母を亡くして以来、家族にも友人にも恋人にも溶かせなかった頑なな幸一の心を溶かしたのは、やっぱり厳しくも優しい母の愛なんだなぁ
ドアを開けて出て行く直前のアサミの言葉と表情、そして一人になった幸一がアサミの作って行ったおじやを食べて見せた笑顔、たまらなく素敵で涙が止まらない
泣き所だけじゃなく笑い所も満載で、お腹痛くなるほど笑ったシーンもたくさんあり、最高に楽しませてもらえた
2つの作品に共通する「人は一人じゃ幸せになれない」という言葉と、今回の公演の「人が生きていくのに必要なのは、食べ物と友達。そして、思い出なんじゃないかな。」というキャッチコピーが心に響く。
思い出は過去を振り返り懐かしむだけのものじゃなくて、今を生きる力を与えてくれるものなんだなぁ。
笑いと大きな感動をもらえた素敵な舞台だった
次の公演は7月2日。楽しみ♪
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