本屋さんで平積みされてて手に取ってみた瀬尾まいこさんの作品。11月に映画化が決定しているらしい。
仕事も人間関係も上手く行かず、息詰まる日々を送っていた23歳の千鶴は会社を辞め死ぬ事を決意した。部屋を整理し列車に乗って向かったのは日本海沿いの町。辿り着いた山奥の民宿「たむら」で、最後の食事と入浴を済ませた後、飲まずに溜めておいた睡眠薬を飲み眠りについた。だが、翌朝爽快な気分で目が覚める。死のうという気が薄れた千鶴だったが、何かを始める気も起きずのんびりと過ごす。宿主・田村の大雑把な優しさや、周囲の人々の大らかさ、自然に囲まれた村、かつてない満ち足りた気分で日々を過ごしていた千鶴だが、ある時ふと気付く。ここに、自分の居場所はないのだと―。
ストレスを溜め込んでしまった千鶴の姿は、現代を生きる人のほとんどに重なるんじゃないかと思う。死のうと思いつめた千鶴が死に場所として選んだ山奥の集落で、千鶴は思いがけずたくさんの素敵なものに出会う、大自然と、大らかな人々、都会にはないそれらに触れて心癒され、少しずつ本来の自分を取り戻していく様に私自身も癒される[[pict:kirakira2]]
都会での生活を忘れ、したい事をして過ごすうちに「ここに私の居場所はない」と気付く流れが、とても自然にさりげなく描かれていて共感できた。この地で守らなきゃいけないものもなく、「客人」としてもてなされる生活の中で、「酔いはいつか醒めてしまう」と、これじゃいけないと生きる希望が湧いてくるのはごく自然で健全な事なんだろうな。
武骨な田村と千鶴の不器用な関係も和む[[pict:meromero2]]
―何十年かけても変わらないこともあるけど、きっかけさえあれば気持ちも身体もいとも簡単に変化する。それにもっと敏感に対応していかないといけない。そう思った。―
本当にその通りだなって思う。そのきっかけはきっと、どんな所にでもあるんだ[[pict:yellow16]]
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