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創作裏話、Web拍手御礼、マイブームなど。
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    『K-20 怪人二十面相伝』を観てきた!

    江戸川乱歩が生み出した名探偵・明智小五郎と怪人二十面相を題材にした、北村想さんによる同名小説を映画化した作品。

    時は1949年。第二次世界大戦は回避され、19世紀から続く華族制度が生み出した極端な格差社会の下にある帝都・東京。
    学術会議場から、無線による送電システム「テスラ装置」の模型が衆人環視の中盗まれるという事件が起きた。模型を持ち去ったのは、帝都を震撼させる正体不明の大怪盗・怪人二十面相。明智小五郎らが現場検証を行うと、そこには二十面相が使った変装用マスクが残されていた。
    ある日、グランド・サーカスのスター曲芸師・遠藤平吉は、カトラリー雑誌『事件実話』の記者を名乗る男から「名探偵・明智小五郎男爵と羽柴財閥令嬢・羽柴葉子の結納の儀を写真に収めてほしい」と依頼を受ける。結納の儀が行われる羽柴ビルの最上階のから、儀の模様を隠し撮りすべくシャッターを切ると、突然轟音と爆発が起こり会場は煙に包まれる。折りしも、二十面相から「羽柴財閥が所有する絵画『バベルの塔』を頂戴する」という予告状を受け羽柴ビルは厳戒態勢にあった。平吉は軍警により怪人二十面相として逮捕されてしまう。刑務所へ護送される平吉を救出したのは、サーカスのカラクリ技師・源吉とその仲間達。源吉らが住む長屋へ案内された平吉は、泥棒という源吉の裏の顔を知り衝撃を受け長屋を飛び出してしまう。サーカス小屋に戻った平吉だが、小屋は軍警の手によって焼き払われた後だった。町には平吉を二十面相として指名手配するポスターが至る所に貼られている。居場所を無くした平吉は、サーカス団の少年・シンスケと再会する。シンスケに連れられて孤児達が暮らす地域・ノガミへやってきた平吉は、彼らの為にそして自分の無実を証明する為に源吉らの長屋へ戻り、二十面相と戦う力をつけるべく泥棒修業を始めた。逃走術、変装術等をマスターしていく平吉は、ある夜、ウェデングドレス姿で町を走る女性を見かける。彼女を追っているのは、平吉を罠に嵌めた張本人、怪人二十面相だった。彼女を二十面相の手から救い長屋へ連れてきた平吉は、彼女が羽柴財閥令嬢・羽柴葉子だと知る。上流社会に生きる葉子に腹を立てた平吉は葉子をノガミへ連れて行きそのまま一人で帰ってきてしまう。ノガミで下層階級の現実を目の当たりにした葉子は自分のすべき事を見つけた。平吉と共に長屋に戻った葉子は、自分が二十面相に追われていた理由を語る。テスラ装置、バベルの塔の絵、そして祖父から葉子へ託された「しあわせの箱」。平吉は葉子と源吉、そして明智とも手を組み二十面相の真の狙いに迫るべくある計画を立てる。
    二十面相の狙いとその正体とは? 平吉は無実を証明し元の生活に戻れるのか?―

    昨年、『パコと魔法の絵本』を観に行った時にこの作品の予告編を観て、「これは面白そう!絶対劇場で観る!」と決めていた。面白かった!
    迫力満点のアクションシーン、ほのぼのと笑えるコメディなシーン、切ない恋愛要素もありとても楽しめた。金城武さん、明智を演じた仲村トオルさんがとにかくかっこ良かった!ハート
    平吉が泥棒修業をするシーンで、始めは二十面相と戦う為の修業がだんだんと修業そのものを楽しんでいる様子が無邪気な少年のようで可愛らしかったハート源吉の作った装置を使いこなして鉄塔を乗り超えた時の「すっげーーー!オレ!」って叫びと、変装術を長屋の仲間達に披露し拍手喝采を浴びた時の表情に、罠に嵌められた直後の絶望は微塵も残っていない事を感じさせてくれる。
    明智の冷静さや上流階級の人間の気品と知性、垣間見える冷たさと狡猾さ、どれもがとても魅力的ハート明智小五郎という昭和のヒーローを見事に具現化してくれていた。平吉と手を組むと決めた時の「明智小五郎の名にかけて、君の無実を証明しよう」という言葉は、とても真摯に響いて安心させてくれた。それなのに、あぁ、それなのに……
    葉子を演じた松たか子さんは嫌味のないお嬢様ぶりが可愛くて素敵キラキラ。『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンを彷彿とさせるような凛としたお嬢様で、後ろから肩に手をかけた平吉を「無礼者!」と投げ飛ばしてしまったり、オートジャイロと呼ばれる小型の簡易ヘリコプターを操縦する姿と、その姿に唖然とする平吉達に「良家の子女のたしなみです!」と口にした姿はかっこ良かった!明智邸に潜入している平吉達の為、明智を足止めするべくとった「お色気作戦」が凄く可愛らしくて魅力的だった。
    平吉との間に芽生え始めた恋が切ない。けれど、「あなたを見守っている」という平吉の言葉は、葉子にとってとても心強い支えになっていると思う。太陽の光の下と夜の闇の下、違う時間に歩く2人だけど辿っている道は同じ、そんな関係も素敵だなと思った。

    とても楽しくて温かい気持ちにさせてくれる作品。
    「どんな悲惨な境遇に落とされても、希望を失わなければ幸福でいられる」そんな事を感じさせてくれた。

    この先では真相に触れていますのでご注意を。



    怪人二十面相は一体誰なのか?
    「テスラ装置」に妙に関心を寄せていた明智の助手・小林少年が怪しいと思っていたのですが、見事にハズレ汗あれは純粋な好奇心だったみたい。そういえば、江戸川乱歩の作品に出てくる小林少年も事件や兵器、機械に興味津々だった記憶が蘇ってきたり。
    羽柴ビルの屋上で二十面相と戦い、階下へ落ちてワイヤーでぶら下がる平吉の足元に落ちていた二十面相の仮面。平吉のワイヤーの逆端を掴んで降りてきた二十面相の、黒い帽子の下にある素顔は、明智小五郎……!
    強力な兵器となり得るテスラ装置を破壊する為羽柴ビルへ向かう前、明智と平吉は互いを認めて分かち合い、乾杯を交わした後だっただけに、大きなショックを受けた。
    元は平吉と同じ下層階級の出だという明智。金で男爵位を手に入れた後、自作自演の怪盗と探偵で名声と信頼を確実なものにし、上流階級を、格差社会を憎み続け、新しい世の中を作るべく今の世は壊してしまうべきだと語る明智の、闇を湛えた目つきに惹き込まれた。その為に手を組もうと言った明智に首を振り、そして「俺は負けじゃない。お前の無実を証明するものは誰もいなくなる。お前は二十面相として生きていくしかなくなるぞ。」という明智の言葉にも「構わないさ」と言った平吉の明るい眼差しにはほっとした。
    明智の企みは平吉と源吉の手によって阻止される。源吉が細工しテスラ装置の示した座標は羽柴ビル。頭上へ巨大な電気エネルギーの固まりがゆっくりと落ちてくる様を見て、「綺麗だ……。」と呟いた明智の表情に、まだ彼には心が残っていたのだと感じられて、崩壊の迫るビルから逃げようとしない彼の姿に胸が痛んだ泣き顔

    「俺は負けじゃない」という明智の言葉は、直接的には「平吉の無実を証明する人間はいなくなる」という事を指しているけど、続編を期待させる台詞のようにも聞こえる。
    表向きには、明智は羽柴ビルの事故で亡くなったように描かれてたけど、是非とも初代二十面相と二代目二十面相の戦いをまた見てみたいと思う!

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