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創作裏話、Web拍手御礼、マイブームなど。
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    キャラメルボックスハーフタイムシアター『ミス・ダンデライオン』『南十字星駅で』観劇

    昨日、演劇集団キャラメルボックスのハーフタイムシアター、クロノスジョウンターの伝説『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』を観てきた^^

    『ミス・ダンデライオン』
    横浜大学付属病院で働く医師・鈴谷樹里(すずたにじゅり)は、11歳の頃、小児性結核で入院していた。その時、同じく入院していた作家志望の青年・青木比呂志(あおきひろし)と出会い、「ヒー兄ちゃん」と呼んで慕うようになる。ヒー兄ちゃんは、幼い樹里に楽しいお話をたくさん聞かせてくれていた。しかし、ヒー兄ちゃんはチャナ症候群という難病のため、亡くなってしまう。
    19年後、樹里は、チャナ症候群に劇的な効果をもたらす新薬を手に入れる。ヒー兄ちゃんを救うため、樹里はクロノス・ジョウンターに乗り込み、19年前の過去へと飛ぶ。

    『南十字星駅で』
    元エンジニア・野方耕市(のがたこういち)は、 79歳。ある日、熊本の科幻博物館から、収蔵品の修理を依頼される。それは、43年前に自分が開発した、クロノス・ジョウンターだった。修理するうち、野方の脳裏に青年時代の記憶が蘇る。大学4年の夏、野方は親友を失った。名前は萩塚敏也(はぎづかとしや)。萩塚は屋久島で沢登りしている最中、鉄砲水に流されて亡くなったのだ。萩塚に屋久島行きを勧めたのは、野方だった……。
    萩塚と最後に会った日に、もう一度行こう。野方はクロノス・ジョウンターに乗り込み、57年前の過去へと飛ぶ。

    (公式サイトより)

    この作品に登場するタイムマシン「クロノス・ジョウンター」は、ドラえもんに登場するような完璧なタイムマシンではない。過去に滞在できる時間に制限があり、そのタイムリミットを過ぎると元いた時代よりも更に先の未来へ弾き飛ばされてしまう。過去へ行けば、現在には二度と戻って来れない。この制約が登場人物達の気持ちや物語の緊迫感を盛り上げてくれている。
    自分の全てを捨ててでも、過去に行って大事な人を助けたい、そんな主人公の強い想いに心打たれた
    また、SLをモデルに創られたという巨大なクロノス・ジョウンターの起動シーンはとても迫力満点でかっこいい!
    主人公達の必死な想いを乗せている、その重みが伝わってきた。

    以下若干のネタバレを含みますのでご注意を。



    『ミス・ダンデライオン』は女性が主人公という事もあり一層感情移入
    11歳で初恋の人を亡くし、医師になる事を決意した樹里。大人になって医師になっても、片時もヒー兄ちゃんを忘れなかった樹里が、新薬とクロノス・ジョウンターに出会うのは偶然なんかではなく、彼女の強い気持ちが引き寄せた運命だったんだろうって思った。
    クロノス・ジョウンターの開発者・野方耕一と出会った樹里は迷わず過去へ行く事を決め、そんな樹里にこのマシンの欠点を知っている野方は反対する。反対する野方を説得する樹里の、好きな人を助けたいという想いに野方同様に心を動かされた。過去へ行ってヒー兄ちゃんを助けても、自分は未来で生き延びた彼に会えるかどうかわからない。それでも彼を助けたい、樹里の献身的で自己犠牲も厭わない強く純粋な恋心と彼女自身の強さに惹き付けられた。見返りを求めない「無償の愛」を感じた
    薬を持って過去へ行きいくつかのトラブルがありながらも、無事に薬の投与を終えた樹里にタイムリミットが迫る。野方の計算よりも遥かに早く訪れるそれは、樹里とヒー兄ちゃんの心の距離を一層縮める役割を果たしたように思った。突然現れた大人の樹里に懐かしさを覚え惹かれていくヒー兄ちゃんは彼女の正体を知って、深い感謝と愛情を抱くんだけど、いつとも知れない未来へ飛ばされてしまう樹里に出来る恩返しは、生きて彼女が飛ばされてくる時代を待つ事だけ。その切ない叫びに涙が止まらない
    樹里が飛ばされてしまう直前に交わしたある約束、そしてラストシーンで再会した2人に再び涙……
    ヒー兄ちゃんが過去と同じように大人になった樹里の頭を撫でる優しい表情がとても素敵。
    ダンデライオンとはタンポポの花の事。小さく可憐でありがなら強い生命力を持つこの花は、一途な恋心と強い意志を持つ樹里を形容するのに相応しいと思った。

    『南十字星駅で』は『ミス―』に登場した野方が主人公。クロノスシリーズ完結編と銘打たれている。
    これまでにもクロノスシリーズの中でたくさんの人が過去へ飛ぶのを見てきた彼。クロノス・ジョウンターの欠点を知る彼は、誰かが過去へ飛ぼうとするのを一旦は反対してきている。そんな彼が自ら、大事な親友と片想いだった親友の彼女を救う為に過去へ飛んで行く事は、クロノス・ジョウンターとそれを開発した野方の存在意義を探る旅なのかもしれないと思った。
    大学卒業後、シドニーへ留学する事が決まった親友・萩塚の送別会が開かれ、環境学を研究する萩塚はそこで野方が持っていた雑誌に載っていた屋久島に興味を持つ。一方、萩塚と交際していた片倉珠貴は萩塚が自分に相談せずにシドニー行きを決めた事と、自分がついていくことを当然だと思っている萩塚の態度に腹を立て別れ、片倉は通訳の仕事をしたいとロンドンへの留学を決める。その後、友人から「萩塚が屋久島で事故死した」と聞き、片倉は「別れたりしなければ、自分も一緒に屋久島へ行けたのに」と後悔し失意のままロンドンへ、その1ヵ月後に彼女もロンドンで命を落とす……。親友と想い人をほぼ同時に失った野方は「自分のせいだ」と責め続けながら生きてきたのだろうと感じた。
    過去を悔やむ彼はどんな気持ちでクロノス・ジョウンターを開発していたのか、不完全なマシンに乗ろうとする人々をどんな想いで止めていたのか、クロノスシリーズを全部観ていないのではっきりとはいえないけど、「過去は変えられない」という絶望にも似た思いがあったのかもしれないと思う。それでも、大事な人を救いに過去へ行く人々を見てきたから、開発会社が潰れてもクロノス・ジョウンターの開発をずっと続けていたのだと思った。
    そして、クロノス・ジョウンターの限界である19年を超えて過去へ飛ぶ方法に気づいた野方は、79歳という年齢でありながら、家族の反対を押し切って59 年前の送別会の日へ飛ぶ。過去の野方が「送別会へは行かない」と言う片倉を説得するシーン、そして送別会で酔いつぶれてしまった22歳の野方の姿が切ない><
    過去の自分を見つめる未来の野方の眼差し、そして過去の萩塚に会い必死に屋久島へは行かないでくれという叫び、別れたと言いつつまだお互い惹かれあっている萩塚と片倉のよりを戻させようと奔走する姿に、自分の後悔だけでなく、一途に2人を大事に想う気持ちが溢れていて胸を打たれた
    また老いた身体で必死に走る野方を助ける周囲の人々の優しさに心温まる
    無事に2人の死の運命を変えて56年後の現在に戻ってきた野方だけど、彼自身の記憶は2人を失ったまま。そんな彼の前に現われた、56年後の片倉の姿にジーンとした

    タイムトラベルの物語は冷静に考えるとツッコミ所満載になっちゃうけど、2作品ともそんな事を忘れさせる強い力があった。人が人を想う気持ちは奇跡だって起こせる、温かい優しい気持ちに溢れる舞台だった

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