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創作裏話、Web拍手御礼、マイブームなど。
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    映画『ペーパームーン』

    1973年に制作されたアメリカ映画。

    <あらすじ>
    1930年代の大恐慌期のアメリカ中西部。母を自動車事故で亡くして孤児となった少女・アディは、母と付き合っていた詐欺師のモーゼに連れられ、ミズーリにいる叔母の許まで旅することに。道中、ちゃっかり者のアディと、そんな彼女に助けられながら詐欺セールスを続けるモーゼ。いつしかふたりの間には、本物の親子のような愛情が芽生えていくが……。

    何と言ってもアディを演じたティタム・オニールの存在感が光る
    聡明でしたたかで大胆、それでいて9歳の女の子らしい可愛らしさに溢れていて惹き付けられた。
    モーゼを演じたライアン・オニールとは実の親子という事もあり、初めてとは思えない自然な演技を見せてくれる。
    あえてモノクロで撮られた映像や、練られたカメラワークも見所

    アディの母親には3人の恋人がいて、アディの父親は誰なのかわかっていない。母の恋人の1人であるモーゼに「あごが似ている。自分の父親かもしれない」とアディは主張、でもモーゼはそれを断固として否定する。
    そしてモーゼは孤児になったアディを利用し他人から200ドルをせしめたが、それを聞いていたアディは「それは私のお金だから返してくれ」と主張、しかしその時には車を買い替えたりしたためモーゼの手元にお金は残ってない。アディをミズーリへの汽車に乗せてとっとと別れようというモーゼの思惑をよそに、アディへ返す200ドルを稼ぐため2人は詐欺稼業をしながら車でミズーリへ向かう事になる。
    モーゼの商売(?)は聖書の販売。新聞の死亡記事を探してその未亡人宅を訪問、「ご主人は生前にあなたに宛てて聖書を注文されていました」と頼んでもいない聖書を高く売りつける詐欺師。子どもを連れてちゃ仕事にならんと考えていたモーゼだけど、詐欺がバレそうになったモーゼを機転をきかせて救ったり、相手が金持ちと見ればモーゼも驚くほどの金額をふっかけたりと才覚(?)を表していくアディ。頭の回転の早さとしたたかさ、子どもである事・孤児である事など自分の見せ方を心得ている様はモーゼ以上に詐欺の才能に長けていると思う。
    始めはケンカばかりの2人だけど、アディの度胸や聡明さを目の当たりにしたモーゼはアディを相棒として対等に接するようになり、アディはモーゼを「父親かもしれない」という思いを強めていき、2人の距離が少しずつ縮まっていく様にじんわりと心が温かくなった^^
    アディに助けられ荒稼ぎをするモーゼは、カーニバルで出逢ったグラマラスなダンサー・トリクシーに夢中になってしまう。ボール紙で作られた月が微笑むセットでカーニバルの記念写真を1人で撮っているアディが切ない……><。
    その後、旅にトリクシーを同行させ、詐欺稼業も休止してこれまで稼いだお金をトリクシーに次々とつぎ込んでしまうモーゼに、嫉妬や不安を覚えたアディの不機嫌な表情が大人びていて魅力的。そして旅をボイコットして草むらに座り込むアディと、「誰といても上手く行かないから、今だけは……」と悲しげに語るトリクシーとの会話、その後モーゼとトリクシーを引き離すためにトリクシーのメイド・イモジンと協力して打った作戦は前半最大の見せ場! ここでもアディの頭の回転の早さと大胆な行動力が光る
    そしてモーゼとトリクシーの破局を前に、ちらりと見せる罪悪感に駆られた表情がまた可愛らしくて魅力的^^
    トリクシーと別れ、詐欺稼業を再開する2人はあるホテルで酒の密売人を見つけ、まんまと密売人を騙し大金を手にした2人だけど、すぐに発覚し激怒した密売人の兄弟の保安官に追われアジトに捕まってしまう。ここでもアディの機転で大金を手にしたまま逃げおおせるんだけど、保安官は執念深く追ってくる>o<
    決して派手なカーチェイスが繰り広げられるわけじゃないんだけど、カメラ1台のみワンカットで撮影された一連の逃走劇はとてもスリリングで片時も目を離せない!
    結局、他の詐欺を仕掛けている最中、町の中で保安官に見つかり、ぼこぼこに痛めつけられお金を全て奪われてしまったモーゼ。荒い息を吐きながらアディの名を呼ぶ姿にジーンとなった><。
    目指すミズーリはすぐ近く。アディを叔母の家へ送り別れを告げたモーゼの寂しそうな表情に胸が痛む
    アディは車を降りる直前、カーニバルで1人で撮った写真に「モーゼへ、アディより。」と短いメッセージを残し、その写真を目にしたモーゼの表情に「一緒に撮ってやればよかった」と後悔が浮かんでいたように見えてまたジーン
    そして、叔母の家で想像以上の歓迎を受けたアディ。もう、詐欺をする必要も無い、危険な目に遭う事もない。温かいミルクにシャワー、柔らかな布団も、憧れたピアノもある暮らしが始まる……はずだった。
    寂しさを吹っ切るように出発したモーゼの車を追いかけるアディ。追ってくるアディに気付いて車を降りたモーゼの喜ぶ心とは裏腹な言葉と、切り返したアディのやり取りは序盤からの流れが見事に収束していて、その後2人の前に広がるどこまでも続く道と、広大な風景と共に迎えるエンディングに胸を打たれた

    「たとえ紙で作った月でも、あなたが信じれば本物になる」
    この作品の挿入歌「It's only papermoon」の歌詞の一節(の意訳)。
    終盤、「本当にパパじゃないの?」と聞いたアディに「そうだと言いたいが、違う」と答えるモーゼ。
    モーゼとアディが本当に親子なのかどうかは不明なままだけど、2人は親子以上に強い、本物の絆で結ばれたのだと思う

    じんわりと心温まる素敵な作品
    お勧めでございます

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